着物　作品紹介1

青空に向かう春の階段を踏み上る先にあるものは・・・
不安と期待の思春期の思い出。

夢や希望、出会いや別れ、喜びや哀しみと・・・
街に溢れる人々の息遣いの中で私は生きてゆく。

宇宙から滴り落ちる水の分子が一瞬に氷結し大地を覆う。
原子核の周りを光速度で回転する素粒子が突き抜けてゆく。
物質の一瞬間の構成力。

アジアの国々の民族衣装をテーマにデザインした作品。
イメージを膨らませるために大阪の国立民族博物館に取材。
背には本銀箔の三日月を配し、白夜に舞い踊る鮮やかな衣装たち。
いにしえより伝わる民族舞踊を今なお踊り続ける。

時とは何か。それは無限の過去から永遠の未来に向かって
不可逆的に流れ続ける大自然と宇宙の奔流。
そのひとつの形を大氷河の動きの中に見出しました。

※全日本新人染織展覧会入選作品

誰かが忍び寄る・・・
何かの影が飛ぶ・・・
窓のない乾いた室内でのある日の風景。

※全日本新人染織展覧会無鑑査作品

秋ふかまりて・・・
緑を懐かしみつつ紅葉はこの世のすべてを朱に染め尽くします。

南画の世界で「三友」と言えば松竹梅のこと。
白地を埋め尽くす松・竹・梅のみの総柄で打掛を染め抜きました。

中秋の夜、障子に映ずる真竹の影。
秋の虫の音を感じていただければ・・・

真夏の大地に照りつける太陽の眩しさに、地球の歴史を
刻み込んだ地層と地層の断層面に走る亀裂の美しさ。
生命の化石をすべて呑み込みつつ、今でも躍動し続ける
マグマの力を表現した作品となりました。

大自然の奇岩絶壁が魅せる想像を超えた造形美。
そこからわずかに垣間見られる大空への憧れを秘めた作品です。

※全日本新人染織展覧会入選作品

田園を縫って走る高速路から眺める風景にも故郷への郷愁が
沸き上がります。
それがいかに移り変わってゆこうとも。

ふるさとは遠きにありて・・・

※全日本新人染織展覧会 大賞受賞作品　1991年

何億年もの時を経て彩り豊かに蓄積された雄大なる
大自然のオブジェ。その地層に潜む太古のロマンと恐れ。
アメリカ、グランドキャニオンに取材し、風化という気の遠くなる様な
奇岩の造形美に圧倒されデザインした作品です。

※全日本新人染織展覧会 意匠賞受賞作品　1991年

刃を抜きざまいきなり袈裟懸けに切り下す、
抜く手も見せぬ切っ先の素早さに走る炎。

どこで曲りどこで折れるか分からない・・・
青春の光と影。

長い梅雨に入る前のひと時の晴天の日々。
初夏の風からの贈り物。

過去から未来へ絶え間なく流れ続ける無限の時に
ふと耳を傾ける・・・
点在する何ものかが見え始めます。

湿った梅雨の風が吹き渡る季節、どんよりとした雲の切れ目
から差し下ろす光に真夏の予感が垣間見えます。

夜の輝きに導かれ期待を纏って迷い出る。
夜には夜の飾りが溢れていて・・・

※全日本新人染織展覧会 新鮮賞受賞作品